「バリアフリーリフォームをしたいけれど、費用が心配…」という方は多いのではないでしょうか。
実は、国や自治体の補助金・助成金を上手に組み合わせれば、自己負担を大幅に減らすことができます。
なかには費用の大部分をまかなえるケースもあります。
この記事では、FP2級取得・元教員(12年)の筆者が、50代・60代の方に向けてバリアフリーリフォームで使える補助金・助成金の種類から申請方法・注意点まで、すべてわかりやすく解説します。
- バリアフリーリフォームで使える補助金の種類と金額
- 介護保険 住宅改修費の申請条件・ステップ別手順
- 自治体補助金との組み合わせ活用術
- 工事の種類別 費用相場一覧
- 補助金申請でよくある失敗と対策
- 信頼できる業者の選び方
※本記事の情報は2026年3月時点のものです。
制度の詳細は各市区町村窓口にご確認ください。
バリアフリーリフォームの補助金は主に3種類【一覧表】
バリアフリーリフォームで活用できる補助金・助成金は、大きく以下の3種類に分けられます。
まず全体像を把握しておきましょう。
| 補助金の種類 | 主な対象者 | 最大補助額 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| ①介護保険 住宅改修費 | 要支援・要介護認定者(40歳以上) | 最大18万円(1割負担の場合) | 市区町村の介護保険担当窓口 |
| ②自治体の独自補助金・助成金 | 高齢者・障害者のいる世帯など | 数万円〜(自治体による) | 市区町村の福祉・高齢者担当窓口 |
| ③国の支援制度(長期優良住宅化等) | 省エネ・耐震改修と組み合わせる場合 | 工事内容・条件による | 登録業者経由で申請 |
なかでも最も使いやすく補助額が大きいのが①介護保険の住宅改修費です。
まずはこちらを理解することが最優先です。
①介護保険の住宅改修費(最大20万円・1割負担なら最大18万円支給)
介護保険の「住宅改修費」は、要介護・要支援の認定を受けた方が自宅をバリアフリー改修する際に、工事費用の一部を国が負担してくれる制度です。
- 工事費用の上限20万円に対して保険給付される
- 負担割合1割の方 → 最大18万円が支給(自己負担2万円)
- 負担割合2割の方 → 最大16万円が支給(自己負担4万円)
- 負担割合3割の方 → 最大14万円が支給(自己負担6万円)
- 他の介護サービスの支給限度額とは別枠で利用できる
- 20万円を使い切らなければ数回に分けて利用もOK
- 要介護度が3段階以上上昇・転居した場合は再度20万円まで利用可能
たとえば、工事費用が20万円で負担割合が1割の方なら、自己負担はわずか2万円で済みます。
非常に手厚い制度です。
②自治体の独自補助金・助成金
多くの市区町村では、介護保険とは別に独自の補助金・助成金制度を設けています。代表的なものとして「高齢者住宅改修費給付事業」があり、介護保険の対象外となる工事にも補助が出るケースがあります。
補助の内容・金額は自治体によって大きく異なりますが、介護保険と組み合わせることで、さらに自己負担を減らすことが可能です。お住まいの市区町村の公式ウェブサイトや窓口で確認することをおすすめします。
③国の支援制度(長期優良住宅化リフォーム推進事業など)
省エネ改修・耐震改修と組み合わせてバリアフリー改修を行う場合、国の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金が利用できることがあります。条件や申請手続きが複雑なため、まずはリフォーム業者や市区町村窓口に相談するのが確実です。
介護保険を使ったバリアフリーリフォーム補助金の申請条件
介護保険の住宅改修費(バリアフリーリフォーム補助金)を受け取るには、以下の条件をすべて満たす必要があります。事前にしっかり確認しておきましょう。
- 40歳以上の介護保険被保険者であること
- 要支援1・2、または要介護1〜5の認定を受けていること
- 介護保険証に記載された住所の住宅(住民票上の住所)でリフォームを行うこと
- 工事の着工前に市区町村へ事前申請を済ませていること
- 施設(特養・老健・有料老人ホームなど)に入所中でないこと(退所予定の場合は可能なケースあり)
- ⚠️ 注意!工事着工後の申請は原則として補助金の対象外となります
バリアフリーリフォーム補助金の対象となる工事6種類
介護保険の住宅改修費が対象となる工事は、以下の6種類と厚生労働省によって定められています。
| 工事の種類 | 具体例 | 費用目安 |
|---|---|---|
| ①手すりの取り付け | 廊下・トイレ・浴室・玄関・階段への手すり設置 | 1万〜5万円/ヶ所 |
| ②段差の解消 | 玄関・浴室・廊下・部屋間の段差をなくす工事、スロープの設置 | 3万〜20万円 |
| ③床・通路面の材料変更 | 滑り止め加工、フローリングからクッションフロアへの変更など | 5万〜20万円 |
| ④引き戸等への扉の取替え | 開き戸を引き戸・折れ戸・アコーディオンドアに変更 | 5万〜20万円 |
| ⑤洋式便器への取替え | 和式トイレを洋式トイレに変更(便器の位置・向きの変更も含む) | 10万〜30万円 |
| ⑥上記①〜⑤に付帯する工事 | 手すり取り付けに必要な壁の下地補強・給排水管の移設など | 工事内容による |
- 浴室全体の全面リフォーム(一部は対象)
- 廊下や居室の拡張工事
- ホームエレベーターの設置
- 暖房便座・ウォシュレットの設置
これらは介護保険の対象外ですが、自治体独自の補助金が使えるケースがあります。
バリアフリーリフォーム補助金の申請手順(ステップ別)
バリアフリーリフォームの補助金を受け取るには、決まった順番で手続きを進める必要があります。
流れを確認してから動き始めましょう。
要介護・要支援認定を受ける(または確認する)
まだ認定を受けていない方は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口か、地域包括支援センターに相談してください。認定申請中でも、申請さえ済ませていれば工事を進めることができます。認定結果が出るまでの目安は約1ヶ月です。
ケアマネジャー(または地域包括支援センター)に相談する
担当のケアマネジャーに住宅改修の希望を伝えます。ケアマネジャーが申請に必要な「住宅改修が必要な理由書」を作成してくれます。ケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターに相談しましょう。費用は無料です。
施工業者を選んで相見積もりを取る
必ず2〜3社から相見積もりを取りましょう。介護保険の住宅改修に詳しい業者かどうかを確認することが大切です。また、自治体によっては「受領委任払い」に対応した登録業者への依頼が必要な場合があります。
市区町村へ事前申請する(←必須!着工前!)
必要書類をそろえて、住民票上の住所地の市区町村窓口へ提出します。審査に通過してから着工となります。
- 住宅改修が必要な理由書(ケアマネジャー等が作成)
- 住宅改修費支給申請書
- 改修前の状態がわかる写真(撮影日がわかるもの)
- 工事費見積書・工事図面・完成予定の状態がわかる図
- 住宅の所有者が本人でない場合は所有者の承諾書
許可が下りたら工事開始・写真を撮影する
市区町村から許可が出てから工事を始めます。工事完成後の写真は事後申請に必要なため、箇所ごとに日付がわかる状態で必ず撮影しておきましょう。
工事完了後に事後申請→補助金支給
工事完了後、以下の書類を添えて市区町村に提出します。審査通過後、補助金が支給されます。
- 住宅改修費支給申請書(事後申請用)
- 工事費用の領収書・工事費内訳書
- 改修後の状態がわかる写真(日付入り)
支払い方法は2種類あります。
・償還払い:利用者がいったん全額を業者に支払い、後から自治体から補助金が振り込まれる(一般的な方法)
・受領委任払い:最初から自己負担分だけを支払えばOK(対応業者・自治体に限る)
バリアフリーリフォーム補助金の対象工事と費用相場一覧
工事の種類ごとに費用相場と補助金の対象可否をまとめました。
リフォーム計画の参考にしてください。
| リフォームの種類 | 費用相場 | 介護保険補助金対象 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 手すりの取り付け(1ヶ所) | 1万〜5万円 | ✅ 対象 | 廊下・浴室・トイレ・階段など |
| 玄関の段差解消・スロープ設置 | 3万〜20万円 | ✅ 対象 | 車いす対応は規模により異なる |
| 廊下・居室の段差解消 | 1万〜10万円 | ✅ 対象 | 敷居の撤去なども含む |
| 滑り止め床材への変更 | 5万〜20万円 | ✅ 対象 | 浴室・廊下・玄関など |
| 引き戸・折れ戸への扉交換 | 5万〜20万円 | ✅ 対象 | 開き戸→引き戸への変更 |
| 和式→洋式トイレへの交換 | 10万〜30万円 | ✅ 対象(20万円まで) | 暖房便座・ウォシュレットは対象外 |
| 浴室の部分バリアフリー改修 | 10万〜50万円 | △ 一部対象 | 段差解消・手すり部分のみ対象 |
| 浴室全体のリフォーム | 80万〜200万円 | △ 一部対象 | バリアフリー部分のみ上限20万円 |
| 玄関スロープ(コンクリート) | 10万〜50万円 | ✅ 対象 | 段差解消として申請可能 |
| ホームエレベーター設置 | 300万〜500万円 | ❌ 対象外 | 自治体補助金の対象になる場合あり |
バリアフリーリフォーム補助金を最大限活用する3つのコツ
コツ①:介護保険+自治体補助金を組み合わせる
介護保険の住宅改修費と自治体の独自補助金は原則として併用が可能です(対象工事が重複しないことが条件の場合もあります)。たとえば、介護保険で20万円の工事費を賄い、さらに自治体補助金で追加工事の費用の一部を補うパターンが理想的です。まずは市区町村の窓口で「使える補助金がないか」を一度確認しましょう。
コツ②:20万円を計画的に分割利用する
介護保険の住宅改修費は、20万円を使い切らなければ数回に分けて利用できます。たとえば今年は手すりとトイレ改修(15万円)、来年は段差解消(5万円)という使い方も可能です。まず優先度の高い箇所から着手し、残りの枠は将来に備えて取っておく戦略が賢明です。
コツ③:「受領委任払い」に対応した業者を選ぶ
償還払いの場合は、いったん全額(たとえば20万円)を自分で支払う必要があります。受領委任払いに対応した業者・自治体なら、最初から自己負担分(2万円〜)だけの支払いで済みます。お住まいの市区町村が受領委任払いに対応しているか確認し、対応業者を選ぶとよいでしょう。
バリアフリーリフォームで信頼できる業者の選び方
バリアフリーリフォームの成否は、業者選びで8割決まると言っても過言ではありません。次のポイントで比較しましょう。
| チェックポイント | 確認方法 |
|---|---|
| ✅ 介護保険の住宅改修に詳しいか | 「介護保険の申請サポートをしてもらえますか?」と質問する |
| ✅ 受領委任払いに対応しているか | 自治体に登録されているか確認する |
| ✅ 相見積もりを嫌がらないか | 「他社の見積もりも取っています」と伝えて反応を見る |
| ✅ 福祉住環境コーディネーターが在籍しているか | 名刺や会社パンフレットで確認する |
| ✅ 施工実績・口コミが確認できるか | Googleマップのクチコミや施工事例を確認する |
高齢者・障害者が住みやすい住環境を提案できる専門資格です。医療・福祉・建築の知識を持ち、介護保険の申請手続きにも精通しています。2級以上の有資格者が在籍する業者を選ぶと安心です。
バリアフリーリフォームの補助金申請でよくある失敗・注意点
せっかく補助金を使えるのに、手続きのミスで受け取れなかったというケースが実際に起きています。以下の失敗例をしっかり確認しておきましょう。
- 工事前に申請しなかった…着工前の事前申請は絶対条件。工事後に申請しても原則受け付けられません。これが最多の失敗例です。
- 介護保険証の住所と工事場所が違った…住民票上の住所の住宅でのみ対象。別荘・子どもの家は対象外です。
- 業者選びを1社だけで決めた…費用が割高になるケースがあります。必ず2〜3社から相見積もりを取りましょう。
- 工事前後の写真を撮り忘れた…事後申請に改修前後の写真(日付入り)が必要です。自分でも確認しましょう。
- 20万円を一度で使い切ってしまった…将来的に追加の工事が必要になることも。計画的に分割利用を検討しましょう。
- 要介護度が3段階以上上昇した場合、再度20万円まで利用可能(1回限り)
- 転居した場合も、新しい住所で再度20万円まで利用可能
- 要支援2と要介護1は同じ区分として扱われる点に注意
バリアフリーリフォームの補助金に関するよくある質問
バリアフリーリフォーム補助金に関するまとめ
今回は、バリアフリーリフォームで使える補助金・助成金について解説しました。
- バリアフリーリフォームの補助金(介護保険住宅改修費)は最大20万円・1割負担なら最大18万円が支給される
- 対象工事は手すり・段差解消・床材変更・扉交換・便器交換など6種類
- 申請は必ず工事着工前に市区町村窓口へ(事後申請は原則不可)
- 自治体の独自補助金と組み合わせることで、さらに自己負担を減らせる
- バリアフリーリフォーム補助金は20万円を分割利用可能。計画的に使うことが大切
- 受領委任払い対応の業者を選べば一時全額負担を避けられる
- まずはケアマネジャーか地域包括支援センターへ相談するのが近道
「まだ介護認定を受けていないから関係ない」と思っている50代・60代の方も、今から制度を知っておくことが大切です。ご不明な点はお住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または地域包括支援センターにご相談ください。
