ビットコインで利益が出たものの、申告せずに済ませたいと考える人は多いです。取引所の口座に数字が並んでいるだけで、給料のように源泉徴収されるわけでもない。誰も見ていない気がします。
ただ、税務署が持っている情報は、思っているよりずっと具体的です。しかも2026年に入ってから、この分野の前提が2つ動きました。ひとつは基礎控除、もうひとつは取引所から税務署への報告書です。どちらも検索上位の記事にはまだ反映されていません。
- 税務署がビットコインの取引をつかむ3つの経路
- 「20万円以下なら申告不要」の3つの落とし穴
- 令和8年分の基礎控除は48万円ではなく104万円。ただし利益が増えると67万円に落ちる
- 無申告のペナルティ4種を、100万円の申告漏れで金額換算するといくらか
- 過去の分を今から出す場合の3ステップ
結論|ビットコインの税金は「バレない」ではなく、バレます
ビットコインの利益を申告しなければバレない、という前提はすでに成り立ちません。
理由は単純で、税務署が取引所に照会できるからです。加えて2026年3月31日に成立した改正所得税法により、暗号資産取引業者には利用者の年間取引報告書を税務署へ提出する義務が課されました。制度が動き出せば、照会するまでもなく手元に届きます。
まず全体像を数字で押さえます。
| 現在の課税方式 | 雑所得・総合課税(住民税・復興特別所得税込みで最大55.945%) |
|---|---|
| 20%の分離課税 | 改正法は成立済み。適用は金商法改正の施行日の属する年の翌年1月1日から。2028年1月が有力 |
| 2026年分の税金 | 従来どおり総合課税。20%にはなっていない |
| 基礎控除(令和8年分) | 合計所得489万円以下なら104万円。489万円を超えると67万円に落ちる |
| バレる主な経路 | ①取引所への照会 ②銀行口座の入出金 ③年間取引報告書の義務化 |
| 無申告のペナルティ | 無申告加算税15〜30%+延滞税(令和8年は年2.8%/9.1%)。悪質なら重加算税40% |
| 調査前に自分で出した場合 | 無申告加算税が5%に軽減 |
この表を見て「じゃあ自分はいくらなんだ」と思った人は、先に損益を出してしまうのが早いです。年間の取引が50件以下ならクリプタクトの無料プランで金額まで出せます。50件を超えるかどうかで話が変わるので、その線引きはクリプタクトの評判と無料50件の境界にまとめてあります。
ビットコインの税金がバレる3つの経路|税務署が持っている情報
「税務署がどうやって知るのか」を、根拠のある順に3つ並べます。
経路①:取引所への照会
税務署は、取引所に対して顧客の取引記録を照会できます。
国内の暗号資産交換業者は金融庁の登録業者で、口座開設の時点で氏名・住所・マイナンバーを取得しています。匿名の口座は存在しません。国税通則法第74条の2は、税務職員が調査について必要があるときに、取引先などへ質問し帳簿書類を検査する権限を定めています。取引所はこの「取引先」に当たります。
本人確認の網も細かくなっています。コインチェックは2026年6月19日から、同社の条件に該当する送金について、マイナンバーカードの電子証明書を使った追加の本人確認を導入しました(目的は不正送金の防止であり、税務のためではありません)。ただ、どの口座が誰のもので、どこへ送金したかが、より確実に記録される方向にあるのは確かです。
経路②:銀行口座への着金
ビットコインを日本円に換えて使うには、どこかで銀行口座に着金させます。この入金記録は残ります。税務署は銀行に対しても照会でき、給与水準に見合わない入金があれば目に留まります。
海外取引所を使っていても同じです。売った場所が海外でも、日本円にして国内の銀行で受け取った時点で、国内に記録が生まれます。海外に置いたままなら着金はありませんが、そのときは使えません。
経路③:年間取引報告書の義務化(2026年3月成立)
ここが、他の記事にまだ載っていない部分です。
2026年3月31日に成立・公布された改正所得税法で、暗号資産取引業者に「特定暗号資産年間取引報告書」を税務署長へ提出する義務が課されました(租税特別措置法38条の2第4項)。提出期限は翌年1月31日です。
この報告書の様式には、移入数量と移出数量の欄があります。
移入数量は、他の取引所やウォレット(暗号資産を自分で保管する財布アプリ)から受け入れた数量。移出数量は、外へ送金した数量です。つまり国内取引所での売買だけでなく、「どこかへ動かした」という事実まで税務署の手元に届きます。取引所からウォレットへ移せば見えなくなる、という発想は、この様式の前では成り立ちません。
- 報告書の提出義務は、20%の分離課税とセットで動き出す。適用開始は金商法改正の施行日の属する年の翌年1月1日で、2028年1月が有力
- したがって2026年7月現在、この報告書はまだ税務署に届いていない
- ただし届き始めた後、税務署は原則5年前まで遡って調べられる。今年の取引が将来の材料になる
「まだ届いていないから今は大丈夫」ではなく、「届き始めたときに過去分が並ぶ」と読むほうが実態に近いです。
ビットコインの税金は少額ならバレない?20万円ルールの3つの落とし穴
会社員は、給与と退職金以外の所得が年20万円以下なら確定申告が要らない。これは国税庁のタックスアンサーNo.1900に書かれた本物のルールです。ただ、条件が3つ抜け落ちたまま広まっています。
落とし穴①:住民税に20万円ルールはない
20万円ルールは所得税だけの話で、住民税には存在しません。
利益が5万円でも、確定申告をしないなら市区町村への住民税の申告が別途必要です。ここを飛ばしている人が多く、しかも住民税の申告漏れは、後から会社に副収入の存在が伝わる入口にもなります。
落とし穴②:使えるのは「1か所から給与・年収2,000万円以下」の人だけ
No.1900の条件は、給与を1か所から受けていて、その全部が源泉徴収の対象で、給与の年間収入が2,000万円以下であることです。副業でもう1か所から給与をもらっている人、年収2,000万円を超える人は、この20万円ルールの外にいます。
落とし穴③:医療費控除で申告すると、20万円以下でも書く必要がある
これが一番見落とされます。
国税庁は、20万円ルールは「確定申告をしなくてよい場合」を定めた規定であって、「確定申告をするときに20万円以下の所得を書かなくてよい」という規定ではない、と明言しています。医療費控除の還付申告や住宅ローン控除の初年度申告をするなら、ビットコインの利益が3万円でも申告書に載せます。ふるさと納税のワンストップ特例も、確定申告をした時点で無効になります。
医療費が10万円を超えた年に還付申告だけして、ビットコインの15万円を書かなかった。これは20万円ルールに守られていません。
【2026年最新】ビットコインの税金で効く、基礎控除104万円の「崖」
ここが本題です。検索して出てくるビットコインの税金の記事は、2026年に更新されたものでも、ほぼ全部が基礎控除48万円で計算しています。
令和8年分の基礎控除は48万円ではない
令和8年分(2026年分)の基礎控除は、合計所得489万円以下なら104万円です。
令和8年度税制改正で本則が58万円から62万円に上がり、そこへ令和8年・9年限定の特例が乗ります。原則として令和8年12月1日施行、令和8年分以後の所得税に適用されます(出典:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」)。
| 合計所得489万円以下 | 104万円(本則62万円+特例42万円) |
|---|---|
| 489万円超655万円以下 | 67万円(本則62万円+特例5万円) |
| 655万円超2,350万円以下 | 62万円 |
| 給与所得控除の最低保障額 | 74万円(令和8年・9年の特例。本則は69万円) |
| 課税最低限 | 給与収入178万円 |
| 扶養親族等の所得要件 | 合計所得62万円以下(給与収入136万円以下) |
気づきましたか。489万円のところで、104万円が67万円に落ちています。段階的に減るのではなく、1円超えた瞬間に37万円消えます。
給与500万円なら、ビットコインの利益133万円が分岐点
合計所得金額には、ビットコインの雑所得(給料でも事業でもない所得の分類。ビットコインの利益はここに入る)も入ります。つまり利益が増えると、基礎控除のほうが削られます。
給与収入500万円の会社員で計算します。給与所得控除は500万円×20%+44万円=144万円なので、給与所得は356万円。489万円まであと133万円です。
ビットコインの利益が133万円までなら基礎控除104万円、134万円になった瞬間に67万円です。
利益が1万円増えただけで、課税所得が38万円増える。利益に課税されるだけでなく、控除まで持っていかれる二重取りです。しかも住民税は所得税と控除額が違うため、別に計算されます。
計算例|給与500万円+ビットコインの利益200万円
| 給与収入 | 500万円 |
|---|---|
| 給与所得控除 | 144万円(500万円×20%+44万円) |
| 給与所得 | 356万円 |
| ビットコインの利益 | 200万円(雑所得) |
| 合計所得金額 | 556万円 → 489万円超なので基礎控除は67万円 |
| 社会保険料控除(仮) | 75万円 |
| 課税所得 | 414万円 |
| 所得税 | 414万円×20%-42万7,500円=40万500円 |
| 復興特別所得税 | 8,410円(40万500円×2.1%) |
| 合計 | 約40万8,900円(住民税は別) |
ここで、もし基礎控除が104万円のままだったらどうなるか。課税所得は377万円、所得税は32万6,500円です。
差額は7万4,000円。この7万4,000円は、利益に対する税金ではありません。基礎控除が37万円削られたことによる増加分です。利益200万円の記事を書いている競合は多いですが、この7万4,000円に触れているものは見当たりません。
ちなみに復興特別所得税は令和9年1月から1.1%に下がり、代わりに防衛特別所得税1%が始まります。手取りベースではほぼ変わりません。
ビットコインの税金を無申告にした場合のペナルティ4種
金額で見ないと実感が湧かないので、税額100万円の申告漏れで揃えます。
無申告加算税|15%・20%・30%の三段構え
| 50万円までの部分 | 15% |
|---|---|
| 50万円超300万円までの部分 | 20% |
| 300万円を超える部分 | 30%(令和5年分以降) |
| 5年以内に再度やった場合 | さらに10%上乗せ |
| 調査の通知前に自分で出した場合 | 5% |
税額100万円なら、50万円×15%+50万円×20%=17万5,000円。調査の通知前に自分から出していれば5万円で済んだところです(出典:国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき)。
延滞税|令和8年は年2.8%と9.1%(2.4%・8.7%ではない)
延滞税の率は毎年変わります。令和4年から令和7年までは年2.4%/8.7%でしたが、令和8年1月1日から年2.8%/9.1%に上がりました。2026年に書かれた記事でも2.4%のまま止まっているものがあります。
納期限の翌日から2か月までが年2.8%、そこから先が年9.1%。税額100万円を1年放置した場合の概算は約8万円です(計算期間には特例があるため、実額は前後します)。
重加算税|隠したと判断されると40%
事実を隠したり偽ったりしたと判断されると、無申告加算税に代えて40%の重加算税がかかります。
過少申告に代わる場合は35%、無申告に代わる場合は40%。繰り返しなら50%です。税額100万円なら重加算税だけで40万円。「知らなかった」と「隠した」の間には、この40万円分の差があります。
住民税の追徴|所得税とは別に来る
所得税の修正が入れば、その情報は市区町村へ回り、住民税も追徴されます。所得税だけ払って終わりではありません。
| 自分から期限後申告 | 100万円+無申告加算税5万円+延滞税 |
|---|---|
| 調査で発覚 | 100万円+無申告加算税17万5,000円+延滞税約8万円=約125万5,000円 |
| 悪質と判断された場合 | 100万円+重加算税40万円+延滞税約8万円=約148万円 |
ビットコインの税金が会社にバレる経路と、普通徴収で防げる範囲
会社に届くのは住民税決定通知書
会社は税務署からビットコインの取引を知らされません。会社に届くのは、市区町村からの住民税決定通知書です。給与から天引きする額を計算するために送られてきます。
ここに副収入分を含んだ住民税額が載ると、給与に対して税額が多いことに経理が気づきます。バレる入口は税務署ではなく、住民税です。
普通徴収で防げること・防げないこと
確定申告書の「住民税に関する事項」で、給与・公的年金等以外の所得にかかる住民税の徴収方法を「自分で納付」にすると、その分は会社を通さず自分で納めます。多くの記事がここで終わっています。
ただし普通徴収を選んでも、防げないケースがあります。
- 自治体によっては、給与所得者の住民税を原則すべて特別徴収とする運用がある
- 申告そのものをしていない場合、後から追徴されると勤務先経由で処理される可能性がある
- そもそも副業禁止規程との関係は税務の話ではない。就業規則の問題として別に残る
徴収方法の運用は市区町村ごとに違うので、住んでいる自治体の住民税の担当課に確認するのが確実です。
ビットコインの税金がバレる前に|今からできる3ステップ
過去に申告していない分がある場合、動く順番はこれです。
ステップ1:取引履歴を集める
国内取引所なら、年明けに年間取引報告書(取引所が発行する1年分の取引まとめ)が出ます。マイページの取引履歴からダウンロードする形式が一般的です。海外取引所やDeFi(取引所を通さず、ブロックチェーン上で直接やりとりする金融サービス)を使っているなら、ここが一番時間を食います。
ステップ2:損益を計算する|年50件が分かれ目
損益計算(1年間の売買で結局いくら儲かったのか損したのかを出す計算)は、取引件数で手段が変わります。
| 国内取引所のみ・年数回 | 国税庁が無料配布している「暗号資産の計算書」で足りる。0円 |
|---|---|
| 年50件以下 | クリプタクトの無料プラン。海外取引所とDeFiの自動計算も無料枠で使える。0円 |
| 年50件超 | クリプタクトの有料プラン。最小プランは年6,600円(税込・2024年9月改定) |
| 履歴が取れない・利益数百万円 | 代行サービス。10万円以上 |
国税庁が年間取引報告書用の計算書を無料で配っているので、国内で年に数回売買しただけの人は、これで終わります。ツールは要りません。ここを正直に書かない記事が多いですが、要らない人に売る話ではないので。
自分が年何件なのか分からない人は、無料プランに履歴を入れれば件数が出ます。
クリプタクトの無料プランは、実現損益の表示が年50件までという制限つきですが、件数の確認と、50件以下なら金額の確定まで無料で終わります。50件を超えて初めて有料の話になります。
ステップ3:期限後申告する
調査の通知が来る前に自分で出せば、無申告加算税は5%です。
通知後に出すと15%から、決定を受ければさらに重くなります。金額を出してから動くのではなく、金額を出すのと同時に期限後申告の準備を始めるほうが安く済みます。なお申告期限は、その年の翌年2月16日から3月15日までです。
履歴が取れない・利益が数百万円のときのビットコイン税金の詰み方
取引所が閉鎖して履歴が出てこない
破綻・撤退した取引所の履歴は、後から取り寄せられないことがあります。自分のメールの取引通知やスマホの記録から復元する作業になり、件数が多いと個人では厳しくなります。
DeFi・NFTで計算が組み上がらない
ウォレット間を何度も動かしていると、ツールに入れても未対応の取引が残ります。ここまで来たら、損益計算から確定申告までを引き受ける代行サービスの領域です。
ただし正直に書くと、この手のサービスは3プランとも10万円以上します。DeFi・NFT・ブロックチェーンゲームはオプション扱いで別料金、閉鎖した取引所の対応はさらに加算されます。利益が数十万円の人が使うサービスではありません。ツールで終わるなら、そちらのほうが安いです。
利益が数百万円あり、追徴のリスクが代行費用を上回る人だけが検討する選択肢です。
ビットコインの税金はバレないのかに関するよくある質問
まとめ|ビットコインの税金はバレないかより、基礎控除104万円を先に確認する
整理します。
- 税務署は取引所に照会できる。2026年3月成立の改正法で、移入数量・移出数量を含む年間取引報告書の提出義務も決まった
- 20万円ルールは住民税にはなく、1か所給与・年収2,000万円以下が条件。医療費控除で申告するなら20万円以下でも書く
- 令和8年分の基礎控除は104万円。ただし合計所得489万円を超えると67万円に落ちる
- 給与500万円なら、利益133万円が分岐点
- 調査の通知前に自分で出せば無申告加算税は5%。通知後は15%から
バレるかどうかを気にしている時間より、いくらなのかを出すほうが早いです。
金額が分かれば、20万円ルールに収まるのか、489万円の崖を踏むのか、代行が要るほど詰んでいるのかが1回で決まります。国内で年数回しか売買していないなら国税庁の計算書で終わりますし、履歴が散らばっているなら無料プランに入れて件数を見るところからです。
50件を超えるかどうかの線引きは、クリプタクトの評判と無料50件の境界で詳しく検証しています。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断については税理士にご相談ください。
※本記事は2026年7月17日時点の情報に基づきます。制度・料金は変更される可能性があるため、最新情報は国税庁および各サービスの公式サイトでご確認ください。
