【50代・60代必読】自筆遺言書の書き方完全ガイド|無効にならない5つの要件と具体的な例文・ひな形を元教員FP2級が解説

自筆遺言書の書き方

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「遺言書を書こうと思っているけれど、何から始めればいいかわからない…」

そう感じている50代・60代の方は多いのではないでしょうか。

実は、自筆証書遺言は紙とペンと印鑑だけで、費用ゼロで作れる遺言書です。ただし、書き方のルールを守らないと法的に無効になってしまいます。

この記事では、FP2級取得・元教員(12年)の筆者が、50代・60代の方に向けて自筆遺言書の書き方・ひな形・無効になるNGポイント・法務局保管の手順まで、すべてわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 自筆遺言書が無効にならない5つの必須要件
  • 具体的なひな形・例文(そのまま使えるテンプレート)
  • 無効になるNG例一覧表
  • 訂正・書き直しの正しいやり方
  • 付言事項(家族への想い)の書き方
  • 法務局への保管手続きステップ
  • 公正証書遺言との違い・選び方

※本記事の情報は2026年3月時点のものです。制度の詳細は法務局や専門家にご確認ください。

目次

50代・60代が今すぐ遺言書を書くべき理由

「まだ若いから」「元気なうちは必要ない」と思っていませんか?

遺言書は「死を前にした準備」ではなく、「家族への最大の思いやり」です。

遺言書がないと、残された家族は「遺産分割協議」という話し合いをしなければなりません。仲の良い家族でも、お金のことになると意見が割れることは珍しくありません。50代・60代のうちに書いておくことで、以下のことが実現できます。

遺言書を書いておくメリット
  • 家族間の相続トラブルを未然に防げる
  • 世話をしてくれた子や配偶者に多く遺すことができる
  • 疎遠な親族に財産が渡るのを防げる
  • 相続手続きがスムーズになり、家族の負担が減る
  • 感謝の気持ちや生き方を家族に伝えられる

自筆遺言書とは?種類と特徴を比較

遺言書には主に3種類あります。なかでも自筆証書遺言は費用ゼロで自分だけで作れる最も手軽な方法です。

種類作成方法費用証人検認こんな方に
自筆証書遺言自分で手書き0円〜(法務局保管は3,900円)不要必要(法務局保管なら不要)費用を抑えたい・内容を秘密にしたい方
公正証書遺言公証人が作成数万円〜(財産額による)2人必要不要確実に有効な遺言書を作りたい方
秘密証書遺言自分で作成・封印1万1千円〜2人必要必要内容を完全に秘密にしたい方

自筆証書遺言は手軽な反面、書き方のルールを守らないと無効になるリスクがあります。次章でしっかり確認しましょう。

自筆遺言書が有効になる5つの必須要件

民法968条に定められた以下の5要件をすべて満たさないと、遺言書は無効になります。一つでも欠けると家族が困ることになるため、必ず確認してください。

有効な自筆遺言書の5つの要件
  1. 全文を自筆で書く…本文はすべて手書きが必要。パソコン・代筆は無効(財産目録のみパソコン可)
  2. 作成した日付を正確に記載する…「〇年〇月〇日」と具体的に書く。「吉日」は無効
  3. 氏名を自筆で署名する…フルネームで自筆すること。ペンネームや印字は無効
  4. 印鑑を押す…実印でも認印でも可。押印のない遺言書は無効
  5. 財産目録以外はすべて自筆…本文・署名・日付は必ず手書き

これだけで無効!自筆遺言書のNGポイント一覧

実際に無効になった事例をもとに、よくあるNGポイントを一覧表にまとめました。書き始める前に必ず確認してください。

NGポイント具体例正しい書き方
日付があいまい「令和6年9月吉日」「令和6年9月15日」と具体的に
パソコンで本文を作成Wordで印刷した本文全文を手書きで(財産目録は除く)
代筆配偶者や子どもに書いてもらった必ず本人が手書きで
押印漏れ署名はあるが印鑑なし署名の後に必ず押印
夫婦の共同遺言「私たち夫婦は…」と連名で書いた1人ずつ別々に作成(民法975条)
あいまいな表現「全財産を長男に任せる」「相続させる」「遺贈する」と明記
ビデオ・音声での遺言スマホで動画録画必ず紙に手書きで
年号の書き忘れ「9月15日」(年なし)「令和◯年9月15日」と年号から書く

自筆遺言書の書き方とひな形(例文)

実際に使えるひな形と例文を紹介します。この形式を参考に、ご自身の状況に合わせて書いてみてください。

基本的なひな形(テンプレート)

自筆証書遺言のひな形

遺 言 書

遺言者 ○○ ○○ は、以下のとおり遺言する。

第1条 遺言者は、遺言者が有する下記の不動産を、長男 ○○ ○○(昭和○○年○月○日生)に相続させる。


(不動産の表示)
所在 ○○県○○市○○町○丁目
地番 ○○番○
地目 宅地
地積 ○○.○○㎡

第2条 遺言者は、遺言者が有する下記の預貯金を、長女 ○○ ○○(昭和○○年○月○日生)に相続させる。


○○銀行 ○○支店
普通預金 口座番号○○○○○○○

第3条 遺言者は、上記以外の全財産を、妻 ○○ ○○(昭和○○年○月○日生)に相続させる。

第4条 遺言執行者として、長男 ○○ ○○ を指定する。

令和○○年○月○日

○○県○○市○○町○丁目○番○号
遺言者 ○○ ○○ ㊞

ひな形のポイント解説
  • 「相続させる」:相続人(配偶者・子ども)に財産を渡す場合はこの言葉を使う
  • 「遺贈する」:相続人以外(孫・内縁パートナーなど)に渡す場合はこちら
  • 不動産の記載:登記事項証明書(法務局で取得可能・600円)を見ながら正確に書く
  • 預貯金の記載:通帳で銀行名・支店名・口座番号を確認して正確に
  • 遺言執行者:遺言内容を実現してくれる人。信頼できる家族や弁護士・司法書士を指定

書くのに適した用紙・筆記用具

用紙のサイズや材質に法律上の規定はありませんが、法務局保管制度を利用する場合はA4サイズ・地紋なし・片面印字が必須です。

項目おすすめ注意・NG
用紙A4の白い便箋・レポート用紙法務局保管の場合は地紋入り用紙NG
筆記用具ボールペン・筆ペン・毛筆鉛筆・シャープペンシル(消えるためNG)
書き方縦書き・横書きどちらでも可特になし
印鑑実印が望ましい(認印でも有効)シャチハタ(スタンプ式)は避けた方が無難

自筆遺言書の正しい訂正方法

書き間違えたときも、修正テープや塗りつぶしは使えません。民法で定められた正しい手順で訂正しましょう。

STEP

間違えた箇所を二重線で消す

修正したい部分を二重線(=)で消します。修正テープや塗りつぶしは使用不可です。

STEP

近くに正しい内容を書き入れる

二重線の近く(吹き出し・欄外など)に正しい文言を書き入れます。

STEP

欄外に「〇字削除、〇字加入」と書いて署名押印

余白部分に変更内容(例:「2字削除、4字加入」)を記載し、署名押印します。この署名押印が抜けると訂正が無効になります。

💡 訂正が多い場合は書き直しがおすすめ

訂正箇所が多くなると、手続きが複雑になりトラブルのもとになります。新しい日付で最初から書き直す方が確実です。複数の遺言書がある場合は、日付が新しいものが有効となります。

自筆遺言書に書ける内容(法定遺言事項と付言事項)

法的効力がある「法定遺言事項」

遺言書に書くことで法的効力が認められる内容(法定遺言事項)の主なものは以下のとおりです。

遺言書に書ける主な内容
  • 誰に何の財産を相続させるか(相続分・遺産分割方法の指定)
  • 相続人以外への遺贈(孫・内縁パートナーなど)
  • 遺言執行者の指定
  • 相続人の廃除(相続させたくない人を除外)
  • 子どもの認知
  • 生命保険金の受取人変更

50代・60代にぜひ書いてほしい「付言事項」

付言事項とは、法的効力はないものの、家族への想いや気持ちを伝えるメッセージのことです。相続トラブルの防止にも大きな効果があります。

付言事項の例文

【感謝を伝える場合】

「長年連れ添ってくれた妻〇〇へ。あなたのおかげで幸せな人生を歩めました。残りの財産でどうか安心して暮らしてください。ありがとう。」

【不公平な分配の理由を説明する場合】

「長男へ多く遺すのは、長年家業を支えてくれたお礼の気持ちからです。次男・三男にも感謝しています。どうか兄弟仲良く過ごしてください。」

【葬儀に関する希望を伝える場合】

「葬儀は家族だけで小さく済ませてください。お墓は〇〇寺の家墓に入れてもらえれば十分です。」

付言事項は遺言書の末尾(日付・署名・押印の前)に書きます。「付言」や「付記」などと書いてから記載しましょう。

自筆遺言書を法務局で保管する方法とメリット

2020年7月10日から始まった「自筆証書遺言書保管制度」を使えば、手数料3,900円で法務局に遺言書を預けられます。

法務局保管のメリット
  • 紛失・改ざん・隠匿のリスクがゼロになる
  • 死後の家庭裁判所での検認が不要になる(相続手続きがスムーズ)
  • 遺言者の死後、相続人に通知が届く
  • 原本は50年間、データは150年間保管される
  • 追加費用なし(3,900円のみ)

法務局保管の手順(ステップ別)

STEP

自筆証書遺言を作成する(A4・地紋なし・片面)

法務局保管制度を利用する場合は、用紙のサイズ(A4)・余白・文字の配置に一定のルールがあります。法務省ホームページで「遺言書の様式等についての注意事項」を必ず確認してから書きましょう。封筒に入れずに・ホチキス止めもせずそのまま持参します。

STEP

管轄の法務局(遺言書保管所)を確認・予約する

保管を申請できる法務局は以下のいずれかです。

  • 遺言者の住所地を管轄する法務局
  • 遺言者の本籍地を管轄する法務局
  • 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局

法務局のウェブサイトまたは電話で事前予約が必要です(平日8:30〜17:15)。

STEP

必要書類を準備する

  • 自筆証書遺言(A4・封筒なし・ホチキスなし)
  • 遺言書保管申請書(法務省HPからダウンロード)
  • 顔写真付き身分証明書(マイナンバーカード・運転免許証など)
  • 住民票の写し(本籍地の記載があるもの)
  • 収入印紙3,900円分
STEP

予約日時に本人が法務局へ出向く

保管申請は必ず遺言者本人が直接出向く必要があります(代理人不可)。介助者の同行は可能です。手続き完了後に「遺言書保管証」が交付されます。この保管証は再発行ができないため大切に保管してください。

自筆遺言書を書く際のその他の注意点

⚠️ 書く前に確認したいポイント
  1. 遺留分に注意する…相続人には最低限もらえる「遺留分」があります。「全財産を長男に」といった遺言はトラブルのもとになるため、遺留分を考慮した分配を心がけましょう
  2. 財産の特定は正確に…不動産は登記事項証明書、預貯金は通帳を確認して正確に記載。曖昧な記載はトラブルの原因に
  3. 遺言書の存在を家族に伝えておく…自宅保管の場合は保管場所を家族に伝えておかないと見つけてもらえない可能性があります
  4. 定期的に見直す…家族構成・財産内容の変化に合わせて定期的に書き直しましょう。新しい日付の遺言書が有効になります
  5. 法務局保管なら検認不要…自宅保管の場合は死後に家庭裁判所での検認手続きが必要(1〜2ヶ月かかる)。法務局に預けると不要になります

自筆遺言書の書き方に関するよくある質問

遺言書を書く紙は何でもいいですか?

法律上は紙の種類や大きさに指定はありません。

便箋・レポート用紙・A4コピー用紙など何でも使えます。ただし、法務局の保管制度を利用する場合はA4サイズで地紋のないものが必要です。筆記用具はボールペンや筆ペンが適しており、鉛筆やシャープペンシルは消えてしまうため避けましょう。

日付は西暦でも元号でもいいですか?

どちらでも有効です。ただし「年・月・日」をすべて具体的に書く必要があります。

「2026年3月15日」でも「令和8年3月15日」でも有効です。「〇月吉日」や「年」の書き忘れは無効になりますので注意してください。複数の遺言書がある場合は、日付が新しいものが有効となります。

財産目録はパソコンで作っていいですか?

財産目録のみパソコンで作成できます。

2019年1月13日の法改正により、財産目録はパソコン作成・通帳コピーの添付が認められています。ただし、財産目録の各ページに署名押印が必要です。本文・日付・氏名は必ず手書きで書いてください。

遺言書に書いた内容を後から変えられますか?

いつでも自由に変更・撤回できます。

新しい遺言書を書くことで、古い遺言書の内容を変更・撤回できます。新しい日付の遺言書が優先されます。訂正箇所が多い場合は、最初から書き直す方が確実です。法務局に保管した遺言書も、保管の撤回申請をすれば返却してもらえます。

法務局で保管した遺言書は誰でも見られますか?

遺言者の生前は本人のみ、死後は相続人等が閲覧できます。

生前は遺言者本人だけが閲覧・返還請求できます。遺言者が亡くなった後は、相続人・受遺者・遺言執行者などが遺言書の有無の確認や内容の確認を全国の法務局で申請できます(遺言書情報証明書の発行:手数料1,400円)。

遺言書の内容で悩んだら誰に相談すればいいですか?

弁護士・司法書士・行政書士に相談できます。

不動産の相続が含まれる場合は司法書士、複雑な財産や家族関係がある場合は弁護士への相談がおすすめです。行政書士も遺言書の作成サポートをしています。なお、法務局では遺言の内容についての相談は受け付けていません(形式チェックのみ)。

自筆遺言書の書き方に関するまとめ

今回は、自筆遺言書(自筆証書遺言)の書き方について解説しました。

まとめ
  • 自筆遺言書は紙・ペン・印鑑だけで費用ゼロで作れる遺言書
  • 有効な遺言書にするために全文自筆・日付・署名・押印の4要件を必ず満たす
  • 「吉日」「パソコン本文」「共同遺言」「押印なし」は無効になるNGポイント
  • 付言事項に家族への感謝や想いを書くと相続トラブルの防止に効果的
  • 法務局への保管(手数料3,900円)で検認不要・紛失・改ざん防止が実現
  • 内容で悩んだら弁護士・司法書士への相談がおすすめ

遺言書は「自分のため」ではなく、「残される家族のため」に書くものです。50代・60代のうちに一度書いておくだけで、家族の負担と将来のトラブルを大きく減らすことができます。

まずは紙とペンを用意して、この記事のひな形を参考に書き始めてみてください。

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