「仮想通貨は20万円までなら申告しなくていい」。会社員のあいだで、いちばん広まっている税金の話だと思います。
半分は本当です。ただし、この20万円ルールが使えない会社員が3パターンいます。自分がそこに入っていると、1円の利益でも申告が必要です。
しかも20万円ルールは所得税だけの話で、住民税には最初からありません。そして住民税の手続きを間違えると、会社に副業がバレます。
- 20万円ルールが使えない会社員の3パターン
- 20万円以下でも住民税の申告は1円から必要
- ふるさと納税や医療費控除をすると、20万円ルールが消える
- 住民税を普通徴収にして会社にバレを防ぐ手順
- 令和8年分の税率で計算した、利益別の税額の目安
結論|仮想通貨の税金は会社員でも20万円が基準だが例外が多い
会社員が仮想通貨の利益で確定申告が必要になるのは、原則として年間20万円を超えたときです。
ただし、この「20万円」には条件と例外がついてきます。先に全体像を置きます。
| 所得税 | 年20万円超で確定申告が必要。ただし3つの例外あり(後述) |
|---|---|
| 住民税 | 20万円ルールはない。1円でも申告が必要 |
| 会社バレ | 住民税の徴収方法を「普通徴収」にすれば防げる可能性が高い |
| 税率 | 給与と合算して課税。利益が大きいほど高くなる(総合課税) |
「20万円を超えたか」を判定するには、その年の利益がいくらかを出さないといけません。取引所の残高を見ても分かりません。買値と売値を全部つき合わせる損益計算(1年間の売買で結局いくら儲かったのかを出す計算)が必要です。
年に数回の売買なら電卓で足ります。つみたてを毎週していたり複数の取引所を使っていると、その足し算が終わりません。クリプタクトの無料プランなら年50件までは0円で損益が出るので、20万円を超えたかどうかの判定だけならここで足ります。
仮想通貨の税金の20万円ルールが使えない会社員は3パターン
ここが本題です。20万円ルールは、すべての会社員が使えるわけではありません。
20万円ルールは「年末調整が済んでいる会社員」だけに与えられた制度です。
自分が下の3つのどれかに当てはまると、利益が20万円以下でも確定申告が必要になります。
パターン1:年末調整をしていない会社員
20万円ルールの正体は、「年末調整で所得税の精算が終わっている人は、少額の副業まで申告させなくてよい」という趣旨の制度です。裏を返すと、年末調整が済んでいない人はこの前提から外れます。
年の途中で転職して前職の源泉徴収票を出しそびれた、年末調整の書類を出し忘れた、といったケースです。この場合、仮想通貨の利益が1円でも、確定申告が必要になります。「20万円以下だから大丈夫」は通用しません。
パターン2:給与収入が2,000万円を超える会社員
給与収入が2,000万円を超える人は、そもそも会社で年末調整をしてもらえません。全員が自分で確定申告をする決まりです。だから20万円ルールの対象外で、仮想通貨の利益は金額に関係なく申告に含めます。
パターン3:仮想通貨以外にも副業の所得がある会社員
20万円は、仮想通貨だけで数えるのではありません。給与以外の所得を全部合算して20万円を超えるかで判定します。
仮想通貨15万円+原稿料10万円なら合計25万円で、20万円を超えます。仮想通貨だけ見て「15万円だからセーフ」と考えると、ここでずれます。
- 年末調整をしていない(中途入社・書類の出し忘れなど)→ 1円から申告
- 給与収入が2,000万円を超える → 金額に関係なく申告
- 仮想通貨以外の副業所得と合算して20万円を超える → 申告
会社員の仮想通貨の税金は住民税に20万円ルールがない
所得税がゼロでも住民税の申告は必要
20万円ルールは所得税だけの制度で、住民税にはありません。
つまり、仮想通貨の利益が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税は1円から申告する義務があります。ここを知らない会社員がとても多いところです。
手続きの分かれ方はこうです。
| 利益20万円超 | 確定申告をする。住民税も自動で計算されるので、別の手続きは不要 |
|---|---|
| 利益20万円以下 | 所得税の確定申告は不要。ただし市区町村に住民税の申告が別途必要 |
確定申告をすれば住民税の申告も兼ねます。手間が増えるのは「20万円以下で確定申告をしない」ケースだけ、と考えると分かりやすいです。
住民税の申告を忘れるとどうなるか
住民税の申告漏れには、延滞金や加算金がつくことがあります。さらに住民税の金額は、国民健康保険料や保育料の計算にも使われます。申告を忘れると、そこにも影響が出ます。
「所得税がゼロなら何もしなくていい」ではありません。利益が出た年は、確定申告をするか、しないなら住民税の申告をするか、どちらかは必要です。
ふるさと納税をする会社員は仮想通貨の20万円ルールが消える
ここは見落とされがちですが、当てはまる会社員が非常に多い罠です。
確定申告をした瞬間、20万円以下でも申告対象になる
20万円ルールは「確定申告そのものをしないなら、20万円以下の副業は申告しなくていい」という制度です。逆にいえば、別の理由で確定申告をするなら、20万円以下の利益も申告書に書かなければなりません。
会社員が確定申告をする「別の理由」で多いのが、この2つです。
- ふるさと納税を6自治体以上に行い、ワンストップ特例を使わず確定申告する
- 医療費控除や住宅ローン控除(初年度)で還付を受ける
還付を受けるつもりで確定申告をしたら、仮想通貨の10万円の利益も申告することになった、というのはよくある話です。
ふるさと納税をワンストップ特例(確定申告なしで控除を受ける仕組み)だけで完結させていれば、20万円ルールは生きたままです。しかし医療費控除などで確定申告が必要になった年は、仮想通貨の少額の利益も忘れずに乗せてください。ここを漏らすと、あとで指摘されます。
仮想通貨の税金は会社員の給与と合算|利益別の税額の目安
総合課税なので、給与が高い人ほど税率が上がる
仮想通貨の利益は雑所得(給料でも事業でもない所得の分類。仮想通貨の利益はここに入る)で、総合課税(給料などと合算して、稼ぐほど税率が上がる方式)です。給与と仮想通貨の利益を合わせた金額で、税率が決まります。
株やドル円のFXのような一律20.315%ではありません。ここは会社員が最も勘違いするところです。
計算例|給与500万円の会社員が利益100万円を出した場合
給与収入500万円の会社員が、仮想通貨で100万円の利益を出したケースで見ます。令和8年分の控除で計算します。
| 給与所得 | 500万円 - 給与所得控除144万円 = 356万円 |
|---|---|
| 雑所得 | 仮想通貨の利益 100万円(控除なし) |
| 合計所得 | 356万円 + 100万円 = 456万円 |
| 仮想通貨分の税率 | この所得帯だと所得税20%+住民税10%=約30% |
| 利益100万円にかかる税金 | おおよそ30万円前後 |
仮想通貨の利益は、給与のいちばん高い税率が乗る部分に上積みされます。同じ100万円の利益でも、給与300万円の人と給与900万円の人では、かかる税額が変わります。給与が高い会社員ほど、仮想通貨の税金は重くなります。
正確な金額は所得控除の状況で変わるので、目安として読んでください。個別の判断は税理士に確認するのが確実です。
仮想通貨の税金を会社にバレないようにする会社員向けの手順
バレる原因は住民税の金額
副業が会社にバレる典型的な経路は、住民税です。仮想通貨の利益が乗ると住民税が増え、その金額が会社の給与担当に通知されます。給与に対して住民税だけ不自然に高いと、給与以外の収入があると気づかれます。
確定申告書の「普通徴収」に丸をつける
対策は、住民税の徴収方法を変えることです。確定申告書の第二表に、住民税を「特別徴収(給与から天引き)」にするか「自分で納付(普通徴収)」にするかを選ぶ欄があります。
「自分で納付」を選ぶと、仮想通貨分の住民税の納付書が自宅に届きます。
給与分の住民税はこれまでどおり会社で天引きされ、仮想通貨分だけ自分で払う形になります。これで会社に渡る住民税の金額は給与分だけになり、副業の存在が伝わりにくくなります。
ただし、自治体によっては普通徴収を選べないことや、手続きの運用が違うことがあります。確実にしたい場合は、申告前にお住まいの市区町村に確認してください。バレる経路そのものについては、ビットコインの税金がバレる3つの経路で詳しく検証しています。
念のため書いておくと、これは無申告の勧めではありません。申告はしたうえで、住民税の徴収方法を選ぶ話です。申告せずに済ませる方法ではありません。
会社員が仮想通貨の税金で損しないための2つの準備
利益を先に確定させる
20万円を超えたか、いくら税金がかかるか。すべて「その年の利益がいくらか」から始まります。ところが仮想通貨の損益は、取引所の画面を見ても出てきません。
年に数回の売買なら、国税庁が「暗号資産の計算書」というExcelを無料で配っているので、それで足ります。取引所から届く年間取引報告書(取引所が年明けに送ってくる、1年分の取引まとめ)を使うなら総平均法用のほうです。
つみたてや複数取引所でExcelが追いつかなくなったら、クリプタクトの無料プランのようなツールに切り替えます。年50件までは0円で損益が出ます。ツールごとの無料枠の違いは仮想通貨の損益計算ツール比較4選で比べました。
配偶者が扶養に入っているなら別の壁もある
会社員本人の話とは別に、配偶者を扶養に入れている場合は注意が要ります。配偶者がパートや専業主婦で仮想通貨の利益を出すと、配偶者控除が外れて会社員本人の税金が増えることがあります。
令和8年分は、配偶者の合計所得が62万円を超えると配偶者控除から外れます。家族で仮想通貨をやっている場合は、仮想通貨の税金で主婦が扶養を外れる3つの壁もあわせて確認してください。
会社員の仮想通貨の税金に関するよくある質問
まとめ|会社員の仮想通貨の税金は20万円と住民税で決まる
- 会社員は原則、給与以外の所得が年20万円超で確定申告が必要
- 年末調整なし・給与2,000万円超・他の副業と合算20万円超の3パターンは、1円から申告
- 20万円ルールは所得税だけ。住民税は1円から申告が必要
- ふるさと納税や医療費控除で確定申告する年は、20万円以下の利益も記載必須
- 住民税を「自分で納付」にすれば、会社にバレる可能性を下げられる
- 仮想通貨は総合課税。給与が高い会社員ほど税率が上がる
どのルールも、まず今年の利益がいくらかを出さないと判定できません。
20万円を超えたか、いくら税金がかかるか、住民税をどう申告するか。すべて利益額から始まります。年内に数字が見えていれば、売る量を調整して20万円に収める選択肢も残せます。締まってから計算しても、動かせません。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断については税理士にご相談ください。住民税の申告方法や普通徴収の可否は、お住まいの市区町村にご確認ください。
※本記事は2026年7月18日時点の情報に基づきます。制度・税率は変更される可能性があるため、最新情報は国税庁および各市区町村の公式サイトでご確認ください。
